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公営プール、10年間で14%減 その理由は? 【新聞記事】  2012.09.25

利用者が少なく補修費用の負担が大きいため、千葉県柏市は塚崎市民プールを2011年に閉鎖した。

■老朽化、赤字で修繕できず

全国の公営プールの数を調べてみた。総務省によると、2011年3月末時点で全国に4006施設があり、10年前より14%も減った。「7つに1つが無くなっている計算ね。すごい減り方だわ」。今年に入っても閉鎖の動きは広がっている。大阪府富田林市では4カ所の市営プールを一度に全廃。千葉県香取市も昨夏から休業していた香取市民プールを正式に廃止した。

「なぜ閉めるのか現場の様子を見るべき」。昨夏に廃止した千葉県柏市の塚崎市民プール。長さ25メートルの小規模な屋外プールにはもう水は張られていない。青い塗装は剥がれ落ち、敷地内は草が伸び放題だった。「老朽化が廃止の原因です」と声をかけてきたのは、柏市教育委員会の高橋順一さん(55)。風雨にさらされる屋外プールは傷みが激しい。開業から35年が経過し大規模修繕が必要になったが、約1千万円かかることがわかり断念した。

「市が負担できない額ではないのでは」。「利用者が少なく赤字も問題です」と高橋さん。屋外プールは夏場の約2カ月間しか営業できない。廃止前の塚崎市民プールの利用者は年間1700人程度。入場料収入は年間数十万円にとどまる一方で、維持運営費用は年間500万円。入場者1人あたり2千円以上の税金が維持に投じられていた計算だ。「古くなったうえ、利用者が少ない。これが廃止の背景」。次に、プール統廃合の検討を進めている横浜市役所の本田和彦さん(52)。「プールのある民間のフィットネスクラブも増えました。公営しか無かった時代とは変わっています」

経済産業省によると、フィットネスクラブの市場規模(売上高合計)は11年で2926億円と、10年前より5割伸びた。利用料の違いなどもあり単純には比べられないが、利用者の選択肢は広がっているようだ。

公営の陸上競技場の数も、老朽化を背景にじわりと減っている。総務省の調べでは10年で4%減った。「これも屋外施設だから傷みが早そうね」と明日香。事務所で調査資料をまとめていると、所長から声がかかった。「なぜ最近、急に老朽化が目立つようになったんだ。なにか理由がありそうだぞ」

<一部削除・抜粋>


◆◆◆2012.9.25 日本経済◆◆◆