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プールをスタジオと同じ物差しで見比べるのは大間違い!  2010.11.02



フィットネスクラブを経営する中堅会社の幹部ミーティングでショートスピーチをしました。それも昼食を取りながらです。これが今時のお洒落なミーテキングの形なのですネ。テーマは「プール施設の活用と展望」について。事前に担当者の方からは「遠慮なく厳しいご意見やご提案を…」といわれていたので、お言葉に甘え、そのようにさせて頂きました。

スピーチ終了前の質疑応答。若い元気のいいスタッフや少しお疲れそうな元若手(?)から次々に”プール不要論”が出されました。中には「プールの利用者数が伸びない。このままだとプールだけ”休業”することも考えざろう得ない…」といった過激なネガティブ意見が飛び出す始末です。もしかすると同僚や部下へのパフォーマンスなのかも知れません。現実味なし。まるでどこかの国の事業仕分け人みたいだナ…と内心思いながら返答しました。確かに、近年、オープンした殆どは小ぶりなクラブでジムのみかスタジオ+ジムのみ。プールのあるクラブは珍しい。イニシャル&ランニング・コストを考えるとプール施設は極めて不利なわけです。そして、プールのある既存クラブであっても、スタジオと比較され、経費面も運用面も不利。ですから”仕分け人”的な意見が飛び出すわけです。

ですが、スタジオとプールを同一の価値基準で比べるのはもともと間違っています。付加価値が全く違うからです。例えて言うなら、ゲートボール・コートとゴルフ場を見比べるのに似ています。質的な次元が違う。プールとスタジオは価値観が異なる全く別な施設なのです。ランチミーティングの最後に「ところで、程度の差はあるでしょうけど、一応、自分では泳げると思っている方は手を挙げてください」といったら数名だけでした。「では、ゴルフはどうですか。プレーできると思っている方は手を挙げてください」といったらほぼ半数の方が手を挙げました。この違いは大きい。プールの価値を解ってもらうには極めて難しい実情を思い知らさせました。

写真はミラノ(イタリヤ)の下町にあるフィットネス&スイミングのプール施設です。金太郎飴的なプールが多い日本に比べ、実に多様性がある。ラテン諸国は特にそうです。そして、日本のプールは泳ぐヒトに都合がよい。だから水温も低めです。が、イタリヤの場合、温かいプールが多い。そして、内装も用具もカラフルで楽しい雰囲気があります。要するに泳がないヒトに都合よい環境なのです。この発想の違いは大きい。日本人にこの違いを理解させるのがこれまた一苦労です。もちろん、説得や提案をあきらめているわけではありません。これからもプール施設の良さや大切さを、「水」の良さを、など、声を大にして強調してゆきます。

今野 純