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ワッツ考案者 ハロルド・ダール氏 逝く 84歳  2019.08.02

ワッツ考案者ハロルド・ダール氏が死去しました。享年84歳。ご冥福をお祈り申しあげます。合掌。

思い返せば、1989年(平成1年)、デンバー(米国コロラド州)で初めてワッツと出会いました。1991年(同3年)に日本人8名と共にハービンホットスプリング(カリフォルニア)でワッツを習得。以後、ワッツでの渡米は計5回に及びました。1992年(同4年)、バシア・スバック女史(現オランダ在)が来日。日本初のワッツ講習会を実施。そして、1993年(同5年)にはハワイ会議(8ヶ国)が執り行われました。世界アクアボディワーク協会(WABA)が発足。ワッツセンター構想が話し合われ、「夢」が膨らみました。日本でもWABA認定制度がスタートしました。1997年(同9年)と2003年(同15年)、ハロルド・ダール氏が訪日。2000年(同12年)には日本の仲介で韓国へワッツが紹介しました。

2003年(平成15年)、WABA設立の根幹だったワッツの殿堂“ワッツセンター”が完成。2005年(平成17年)には同センターで『ワッツ誕生25周年記念イベント』が開催。18ヶ国の加盟国の代表が初めて一堂に集結。今後、ワッツの基本方針が話し合われました。WABAの第一幕の終了でした。第二幕の始まりまりを機にアクアダイナミックス研究所のWABA事務局も終了することになりました。そして、今回、ハロルド・ダール氏の死去によりWABA第三幕が始まります。

さて、2008年(平成20年)からはアクアダイナミックス研究所は二度目の”ワッツ元年”と位置づけ、日本的なワッツの再構築へ向けて歩み出し、今日に至っています。その間、WABA構造の象徴的な施設だったワッツセンターが山火事で延焼(2015年)。ワッツの“時代”は更なる変化を強いられることになりました。

ワッツの里 ハービンが山火事で延焼 
https://www.aqua-adi.co.jp/info/26505.html

 



※ハロルド・ダール著『ワッツ』(第二版)のはしがきを書きました。ご覧ください。


ワッツとは何か

ノーベル賞がそうであるように、チョットした思い付きでしたことが、世界中に予想もしない大きな影響を与えることがあります。ワッツもその一つではないかと思います。ワッツの語源が「水中指圧」であることからも分るように考案者ハロルド・ダール氏は指圧マッサージ院を1970 年代にサンフランシスコで開業。ある日、プールで指圧をして欲しいとの気まぐれなクライアントの求めに応じたのかも知れません。このことがワッツの誕生になったのではないでしょうか。

指圧でのツボは全身に364ヶ所あり、先人たちはその一つひとつに名称をつけ、効能を説いてきました。そして、そのツボとツボをたどると一つの線となり、その線は全身を縦横に走っています。その線は経絡と言われ、全部で35個もあります。重力のある陸上とは異なり、浮力があるので水中でのツボへの刺激は殆ど効果が期待できず、単にもの珍しいトライに終ったはずです。水中で指圧するアイデアはダール氏が最初のヒトだったとは思われません。多分、このことにチャレンジした何人かの同業者はこの時点がゴールだったに違いありません。ダール氏のワッツへの歩みは人々が終わりとしたこの時点からスタートしたのです。

ワッツへの歩みは、点としてのツボではなく、線としての経絡に着眼したことです。それも陸上での二次元的な発想ではなく、水中での三次元的なメリディアン・ストレッチを創案したことです。つまり、浮力を活かしたストレッチとしての「動」とリラックスとしての「静」と双方をミックスした「揺」とが三位一体となった絶妙なバランスです。流れるように変化するワッツでの自由な動きは“アート・オブ・リラクゼーション”と言っても過言ではありません。

ワッツの素晴らしさはそれだけはなく「水とは何か」を私たちに教えてくれることです。つまり、ヒトは水中で進化を遂げ、水中から離れて陸上での生活へ移行し、水を飲み続け、水と戯れ、水を浴び、水に溺れ、再び水中で浮き方を覚え、潜り、そして泳げるようになりました。水中での究極的なリラクゼーションであるワッツは、私たちにそのことを教えてくれます。ヒトが通り過ぎてきた遠い過去の微かな記憶の中から水との関りを思い出させてくれるからです。そして、水と触れ合うことで、失われつつある他人への思いやりや優しい心づかいを、他人の喜びを自分の喜びとする豊かな心を、思い出させてくれます。

この本を読み、興味を抱き、ワッツを一度体験すれば、私の言葉が決して言い過ぎではないことを分かってくれる筈です。

最後にワッツの学ぶ人々へ。ダール氏が師と仰いだ日本指圧界の偉人・故増永静一伯が愛した茶道の祖千利休の百首の一つを記します。

稽古とは一より習いて十を知り、十より返りて元のその一


アクアダイナミックス研究所
今野 純


Preface

Things we do on a sudden impulse sometimes have a big impact on the world—just as big as winning a Nobel Prize. I think WATSU is one such case. The word “WATSU” comes from “Water Shiatsu”. The inventor of WATSU, Mr. Harold Dull, began practicing Shiatsu in a clinic in San Francisco in the 1970s. It is possible that WATSU was created in response to an unusual request of a client who wanted to be treated with Shiatsu in a pool.

There are 364 acupressure points (Tsubo) from head to foot. Ancient acupuncturists gave a name for each acupressure point and detailed their effects. Acupressure points can be linked together to form lines. These lines run both up and down as well as across the body. These lines are called Keiraku, and there are a total of 35 Keiraku on the body. Since buoyancy counters the force of gravity we feel on land, one might expect that there would not be much therapeutic effect from pressing acupressure points underwater, and so Mr. Dull’s attempt would have ended as nothing more than an unusual experiment. I think Mr. Dull was probably not the first to try Water Shiatsu. Yet for other practitioners who had tried it, making the attempt itself was enough as a goal. Mr. Dull, however, didn’t give up and started at the point where other people had given up.

The first step toward developing WATSU was that Mr. Dull focused on Lines of Keiraku rather than Points of Tsubo (acupressure points). He went beyond the two-dimensional model possible on land, and came up with a three-dimensional model of Meridians Stretch practiced underwater. More specifically, the stretching that makes the best use of buoyancy (Movement), the relaxation (Stillness), and the combination of the two (Swing) form a trinity of harmonious balance. It may be no exaggeration to say that the free-flowing movement of WATSU is “the Art of Relaxation”.

WATSU is also remarkable in that it teaches us about the nature of water. Human beings evolved in water, and then moved on to land, continued drinking water, enjoyed water, bathed in water, drowned in water, learned how to float on water again, dove under water, and learned how to swim. The ultimate relaxation in water, WATSU, teaches us these things about water, because it stirs our faint memory of humanity’s distant past and reminds us of our long-term relationship with water. Thus, when we come into contact with water, we recall the importance of compassion and consideration for others, and the joy of taking pleasure from the happiness others.

After reading this book, becoming interested in, and trying WATSU, you will realize that there is no exaggeration in what I have said. Let me add a final word for those interested in studying WATSU. As a message for the Japanese edition of Mr. Dull’s book, I would like to quote one of the hundred poems composed by Sen no Rikyu, who was a favorite poet of the late Mr. Shizuto Masunaga. The late Mr. Shizuto Masunaga was a great Shiatsu therapist of Japan and Mr. Dull has regarded him as his mentor.

Learn ten lessons one by one, and when you reach the tenth go back to the first again

Aqua Dynamics Institute
Jun Konno


 



[ コメント ]

  1. Aqua Dynamics Institute より:

    ■ リオン(フランス) 10年ぶりに再会 2014年11月

    ハロルド・ダール(WATSU考案者)と再会。リオン(フランス)。楽しい会話で親交を深めました。
    その後、ダール氏は喉頭がんの外科手術を受け、声帯摘出。筆談。貴重な再会となりました。

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